『かもめ』
作:アントン・チェーホフ 演出:レオニード・アニシモフ
ストーリー
「真剣なものだけが美しい」
湖の別荘地に女優が恋人の作家を伴って帰ってくる。
芸術家の人生は眩しく、自他を幻惑する。
やがて、同じ芸術の世界に飛び込んだはずのニーナとトレープレフ。
なぜ二人の生き方は、こうも違ってしまうのか。
「わたしはかもめ。」
女優を夢見た少女は、自分を撃たれたかもめに重ねた。
出演者
(キャストは、最終公演時のものです)
アルカージナ
天祭 揚子 / 妻鹿 有利花 / 南 千寿
トレープレフ
上世 博及
ソーリン
柿沼 慶典 (スタジオ生)
ニーナ
中澤 由佳
シャムラーエフ
稲田 栄二 / 佐藤 誠司
ポリーナ
池之上 眞理
マーシャ
名児耶 玲子 / 大坂 陽子
トリゴーリン
小倉 崇昭
ドールン
天満谷 龍生
メドヴェージェンコ
八巻 圭一朗
ヤーコフ
和田 裕貴
小間使い
山下 智寿子
登場人物相関図
準備中…。
お客様の声
『かもめ』の登場人物としてごく自然に存在する俳優たちを、至近距離の客席からつぶさに覗き込んだ3時間。様々な『かもめ』を観てきましたが、あんなに泣いたり笑ったりしたのは初めてでした。私が今までに観て来た演劇とは、何かが違っていたのです。
舞台から伝わってくるのは語られる言葉どおりの意味や情報だけではなく、出来事の奥にある人々の切実な思い。生々しい感情が激しくぶつかり、すれ違っていく中から、人間存在そのものの愚かさ、美しさが浮かび上がります。舞台上に本当に生きている人間がいるから、人と人との間に生まれる目には見えないはずの関係が見えてくるのです。
たとえばトレープレフに報われない恋心を抱くマーシャは、悲しみにどっぷりと浸かり、今にも自殺しかねないと思われるほど不幸な様子でした。でも悲嘆にくれてウォッカをがぶ飲みし、力なく涙ぐむ姿は、悲劇のヒロインを気取る自意識過剰な女性にも見えてきたのです。彼女の自己本位なおしゃべりに弱腰のトリゴーリンがつき合わされる場面で、客席から笑いが起こりました。これこそチェーホフの言う「喜劇」なのかもしれないと思いました。
架空の人物像を緻密に作り上げ、その殻を被ったり、巧みに誰かの真似をしたり、演技の手法は様々ですが、東京ノーヴイ・レパートリーシアターの『かもめ』には、演じる人物そのものとして生きる俳優が居ました。本物の俳優による本物のチェーホフに出合えた気がしています。
高野しのぶ
しのぶの演劇レビューhttp://www.shinobu-review.jp/
かもめは淡々と進む中でも、徐序に人間関係が浮き彫りになって行って、人の強さとか弱さがにじみ出てくるような深い話で面白かったです。
他のかもめを観た事が無いので良く分かりませんが、演出も好みでした。明るい話ではありませんが、あのくらいの照明がしっくり来て、色鮮やかでした。日ごろ演劇など余り観ない私でもとても楽しめました。この出会いを大切に、また他の作品も見に行きたいです。
20代 歯科衛生士